虫歯①
- 2025年2月10日
- お知らせ
皆様おはようございます。 歯科ほんだクリニックです
本日は虫歯について、病理医として病態の観点からお話します。
虫歯(齲蝕 うしょく)とは
皆様ご存知でしょうが、簡単にいうと、口腔内の常在菌による感染症です。
原因菌が歯を壊すイラストをよく目にするかと思いますが、実は直接歯を壊すわけではありません。
細菌も我々人間と同じように糖分をエネルギーとして生きています。
細菌が代謝した際に発生する酸によって歯が溶かされていくのです。
虫歯になる要因
①環境
虫歯になる要因としてまず環境要因があります。具体的には、歯質や歯の形態、歯列といった歯の要因
その他に唾液の量や唾液の性質といった口腔内の環境要因があります
唾液は酸を中和し、歯を守る役割がありますが、ストレスや加齢などで分泌量が減ると、虫歯のリスクが高まります。
歯が作られる時の環境の違いなどで個人差がありますが、歯の質によって、むし歯になりやすい人もいます。特に生えたばかりの歯は注意が必要です。
②食物:
食べ物に含まれている糖質(特に砂糖)は、ミュータンス菌が酸を作る材料に使われます。
丈夫な歯を育てるためには、歯の土台を作る良質なタンパク質、歯の石灰化のために必要なカルシウムやリン、また、これらがうまく働くためのビタミン(A、C、D)などの栄養素が必要です。バランスの良い食事を心がけましょう。
③時間
間食が多い人や、甘いものをよく摂る習慣のある人は、歯の表面が酸にさらされる時間が長いため、むし歯になりやすくなります
④細菌:
人間の口の中には、常在菌として約700種類以上が存在し、それが常在細菌叢(じょうざいきんそう)というバランスの取れた形で安定的に維持されています。
細菌の数は合計で1兆個以上が存在するとも言われ、その中でも虫歯の原因となる酸を作る酸産生能を持つ菌種はどれも虫歯の原因菌と考えられます。
1.ミュータンス菌
虫歯の原因菌として代表的なのはまずミュータンス菌です。ミュータンス菌は約1μm(1/1000mm)の球状
菌です。歯垢(プラーク)となって歯の表面に付着し、糖質から酸を作り出します。その酸が、歯の成分であるカルシウムやリンを溶かして歯をもろく、スカスカにしてしまいます。
ミュータンス菌とは正式名称をStreptococcus mutansと呼び
砂糖を多く含む食物を摂取すると、砂糖(ショ糖)を原料にして菌の産生する酵素により粘着性の多糖体(ムタン=グルカン)をつくります。この粘着性の多糖体グルカンが形成されると、歯の表面で他の口腔細菌とともに塊を形成し、これがプラークと呼ばれ、虫歯の発症および進行の最大の原因となります。
ショ糖のない環境では、歯の表面に付着する能力は他の歯表面付着連鎖球菌群よりも低く、他菌との結合や凝集はあまり見られません。
ミュータンス菌は、検査方法も充実し、選択培地の開発、遺伝子検査により菌を特定することが可能です。また、変異を起こさせやすいという特徴から、研究モデルとして重宝されるという側面があります。
近年では、プラークはバイオフィルムと呼ばれ、細菌が生き残るために備えた能力として解釈されています。
2.ラクトバチルス菌
ラクトバチルス菌は、つるつるしたエナメル質などの歯の表面に付着する力はありませんが、足場があるとそこに住み着くことができるため、ミュータンス菌によって溶けた歯の中へ入り込んで、虫歯を進行させていく働きを持っています。
3.アクチノマイセス(Actinomyces)属菌
アクチノマイセスは、きれいになった歯の表面に最初に定着する、いわゆる初期付着細菌として注目されています。歯垢中でアクチノマイセスが増えると、すべてではありませんが、歯と歯ぐきの境目や、奥歯の噛み合わせの面に虫歯(う蝕)を作ったり(図4)、歯肉炎という歯ぐきの炎症の原因になります。